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皆既月食で描写のレッスン [課題―描写]

久しぶりすぎて、何から書き始めたらいいものやらわかりません・・・。

仕方がないので、ともかく昨日のことを。

昨日は皆既月食でしたね。
月食が始まるのも、皆既状態になるのも、講義の最中でしたから
せっかくこんなに長く皆既月食が見られるチャンスだというのに、
教室の中に籠りっぱなしにさせてしまうのはナニだなあと考え、
昨日のお題は「月食」となりました。
定番の描写のレッスンです。

最初に「壊れている」とか「古い」とかの特徴を持った文房具を描写しました。
そのあと、各自の作品を読み上げ、
文体・リズム・展開・視点などの観点から、効果を上げている工夫を伝えました。

肩慣らしがすんだら、いよいよ月食観察。
小学生のクラスは欠け始めた頃でした。
中学生は皆既状態を見ることができました。
どちらのクラスでも、薄く雲がかかってしまっていましたが
その雲のかかり具合が、「いつもの月」との違いを際立たせるものとなりました。

雲の形と動きも、光の滲み具合も、
見ればすぐにわかるものですが、言葉で描くとなるとかなりの難しさ。
でも、その「難しく思われること」に挑まなければ
「伝える力」は磨かれません。

小学生たちは、「雲の向こうにある月→雲から出てきた月(左下が欠けている)→雲に隠れる」
の3つの場面を見ました。
急がないで、一つの場面を描きつくしてから次に移るようにしないと
月も雲も、読み手の心に再現できないのですが、これがなかなか難しい。
どうしても、すぐに次に移ってしまいます。
メインの月食を5行以上は書く、と注文を出しましたが、書いているうちに忘れてしまったようです。
粘り切れずに終わってしまった人がほとんどでした。

中学生は、描写のレッスンを何度もやっている人ばかりでしたから、
留まって書くコツを知っているようでした。
自分が受けた印象「神秘的」とか「暗い」とかのイメージを
読み手も感じ取れるように、何文も重ねて書き綴っていました。
必死なので、文法的には間違っている箇所が入ってしまうこともありますが
それはそれ、これは「正しく」書くためのレッスンではなく
「視点」「演出」「言葉への置き換え」のためのレッスンです。
よい挑戦を認めていくことを主としました。

それぞれの文章の中に、月の姿がとどめられました。
しかし結局、一番大事なところを書けなかった人や
伝えた工夫を生かし切れなかった人はいました。
ですが、それを簡単に「だめだ」と言ってはいけないと思っています。

まだまだ、これからなのです。
言語表現については、焦ってはいけないと思っています。
毎回の作品を完璧にするのが目的ではないのですから。
この毎週の取り組みを通じて、
「ものをとらえる時の視点」と「言葉で伝える際の戦略」を
彼らの中で、じっくりじっくり育んでいくのです。
そうでなければ、本当の表現力は身に付かないと考えています。

あせらないこと。
すぐに成果を求めないこと。
子どもたちから発せられた言葉は、まずは受け止めること。
そしてこちらも真摯に、言葉を発していくこと。
子どもの言葉は、そうやって育んでいくものと考えています。


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場を描きだす 描写の課題 [課題―描写]

先週の「一人称禁止」課題。
大人にとっては易しそうでも、小学生にとっては意外に難しい面があります。
小学校低~中学年のうちは、主観でものごとを見ていますから
「自分を他人のように、外から見る」ことができるようになるには
ある程度の精神的な発達を待たねばなりません。

ですから、教室生の中には、自分を名前(三人称)で表していても
結局は「ぼく・わたし」の視点からしか書いていないものや
「『ぼく』が使えない!」ことを気にするあまり、
主語が全くない文章になってしまったものもあります。

しかし、課題のねらいにそっていないから今回はダメだった、という見方を
私はしません。
やってみること、試してみること、それが教室での活動の大きな意義の一つです。
うまくいかなくても、まず一歩踏み出してみた、
そのことを高く評価します。

踏み出した一歩でさらに地を強く踏みしめてもらおうと
いくつかのクラスでは今週、「5分の散歩」という描写の課題を行いました。
(カテゴリー『描写』あるいは『生活文』で紹介しています、ご覧ください)

今回は「人」よりも「場」をもっと入れてね、と強調しました。
そして、新しい物や場が出てきたら、
「ぜったいに」その物(場)について表す文を2,3文はつけること! と
ルールを設けました。
書いている間も見回り、
すぐに次の物を登場させているようであれば手を止めさせ、
物についての描写の文を入れてから、次に進むようにしました。

ストップをかけられるので、子どもたちとしてはやりにくい部分もあったでしょう。
しかし、時には「このリズム・この言葉」と具体的に見てみないと
しっかりと体得できないこともあります。

この工夫は、すぐに身につくような簡単なことではありません。
しかし何度も繰り返し行えば、見えるように・とどまって書くのが
その人の「当たり前」となります。
本科に在籍して2年目が終わろうとする小5の女の子の作文は
私が細かく注意しなくても、
リズムも見せ方も、独特の雰囲気をもったものとなりました。

いくつかを紹介しておきます。
ストップをかけ、どこか?どんなふうに?色は?形は?動きは?
などと尋ねましたが、「この言葉を入れろ」とは言っていません。
私からの働きかけを受けて、それぞれが自分で言葉を選びました。


*****************************

 

「今まではいいろに見えていたかべがとつぜん白くなる。前の二人は二本ある電とうのま下で止まる。二人のかげがとつぜんあらわれる。」(小3男子)

「満月は、茶色のビルの近くにあった。満月には少し雲がかかっている。でも光は見える。
満月は黄色で光っている。満月の周りをてらしている。満月の周りはうすい黄色で光っている。その満月は、とても低い位置にある。茶色のビルのななめ横にある。」(小5女子)

「青、白と色が変わる。前のアオイのかげができたりきえたりしている。「トントントン」と小さかったり大きかったり。みんなのくつの音が前と後ろから聞こえてくる。」(小6男子)

「ちゅう車場のまん中に立つ。東にはまんまるの月が空を照らす。こん色のうわぎがシャカシャカとゆれる。風がくっついたように耳が冷たい。ズボンの糸と糸の間から、風が入る。木々は横に少しゆれる。月が出ている反対側は、ゆう日がしずみ、もう夜を呼んでいるかのような色をしている」(小5女子)

**************************

美しいとか明るいとか、寒いとか冷たいとか、そんなふうにまとめた言葉を用いなくても
「美しさ」「寒さ」を表現できます。
「美しい」と書いてしまったら、「美しさ」しか表せませんが
物の様子で伝えたら、「美しさ」以外のものも読み手に感じ取ってもらえます。

まとめない。さとらせる。
何度も何度も、伝えていきたい、大切な手法です。


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「うれしい」と書かずに「うれしさ」を描く [課題―描写]

今週は「描写」のレッスンを中心に行いました。

教室では、「うれしい・たのしい・おもしろい」などの「くくる」言葉は
できるだけ避けるようにと伝えています。

「うれしい」の一言は便利ですが、
うれしさの質までは伝えてくれません。
100円拾って「お、やった!」のうれしさと
どうしても勝てなかった相手に、練習の末ようやく勝てた!のうれしさとは
歓喜の大きさや体を走る感覚が、まるで違います。

読み手を自分に同化させるなら、
「うれしい」と書くより「うれしさ」を描かねばなりません。
うれしさがあふれた顔(目・ほほ・口もと)で、
肩や背中で、
足の運びで、
ものの持ち方で、
ゆれる髪の毛で、
「うれしい」とは書かずに、「うれしさ」を読み取らせます。

今週は、原稿用紙半分(10行)で、
「うれしい・くやしい」と書かずに「うれしさ・くやしさ」を描くという課題に取り組みました。
描く気持ちや場面はクラスによって変えました。
「苦しさ」に取り組んだクラス、
「寒さ」を見せるように書いたクラス、
「風」の吹くさまを描いたクラス・・・。
これは描写のレッスンですから、実体験そのままでなくてもかまいません。
体験したことの中から、いくつかを組み合わせて「強調し・演出し」描いていきます。

10~15分程度で書いてもらった全員の作文を、皆の前で読み上げました。
読み上げながら、「どの言葉が・どのような効果を上げているか」を伝えていきます。
逆に、効果を半減させてしまっているところや言葉の足りないところも指摘します。
人の工夫を聴いて、注意するべき点を知って、
それぞれの表現の幅を広げるきっかけにしてもらいたいからです。


金曜・小学生の本科クラスでは、「怒り」「うれしさ」がテーマでした。
一人の子が、人の動き・表情で、怒りを表現した後、
最後に窓から冷たい風を部屋に入り込ませて
部屋に漂う不穏な雰囲気を「風」で悟らせるようにしました。
その大人びた表現に、「これはやってみなくては!」と思ったのか、
他のメンバーが次の「うれしさ」で挑戦。
笑い声を廊下に響きわたらせた後
「まどからのゆるやかな日差しが男の子を照らす」と締めました。

今日の単科では、「強い風」と「弱い風」を書きました。
激しい動きのあるもののほうが書きやすく、
変化の少ないものは書きにくい。よって、弱い風は難しくなります。

しかし、今日の子たちはものともせず!
初参加の女の子は、
ゆれるカーテンの隙間から、日差しがもれ入る様子を描き、
ほぼ毎回参加の中1女子は、バケツに張られた雨水の反射の揺れで風を見せました。
二人とも、「光」で見事に弱い風を描き出しました。
しかもその文章は、
 「きれい」とも「あたたかい」とも書いていないのに、
「美しく・あたたかで・やわらかな・平穏な日」であることも伝えていて
読み手をうっとりとさせる力を持っていました。

いつも参加してくれている小3男子の描き方は格別!
「風」という言葉さえ隠して書いていました。
そこまですることはないのですが、彼は一度やってみたかったのでしょう、
風が体をかすめて・くすぐっていく様子と
「捨てられたスーパーのふくろが地面をひきずられていく」
ことで「風」を見せていました。

テーマが同じなのに、描き方は違う、それが表現のおもしろさです。
全員の作文を読み上げることで、違いのおもしろさが確認できます。
しかし、読み上げることのよさは他にもあります。
まず、どこがどのように良いのかを伝えられることで、
自分に誇りを感じることができます。
そして、他のメンバーが見せた「自分にない工夫」を知ることで、
他者に対する敬意を自然に抱けるようになります。

この課題をやると、いつも
「あぁ、わたしたちってなかなかやるよね!」という雰囲気に教室が包まれて
なんだかほっこり・・・。
皆が教室を出る時の「さよ~ならぁ~」の声さえも、
いつもよりはずんで聞こえてくるのです。


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5分の散歩 [課題―描写]

久しぶりにいくつかのクラスで描写の課題を行いました。
5~10分ほどの散歩に出かけて、その間に感じたことを描く課題です。

岐阜のあたりも、日が暮れるのがずいぶん早くなりました。
6時近くとなれば、外はもう暗くなっています。
かといって、その暗さも寒さも、夜の8時を過ぎたくらいのものではありません。
夜のとっかかりの暗さと静けさを、体で感じて描いてもらいました。


ところで、教室でときどき笑い交じりに紹介するのが「ダメダメ作文」です。
ダメダメ作文その1は、「スケジュール作文」。

『私は今日、作文教室で散歩に出かけました。
外はもう暗かったです。
駐車場の方に行きました。
キンモクセイを見ました。
星が一つだけありました。
少し寒かったです。
そのあと、教室にもどりました。
楽しかったので、また行きたいです』

・・・とまあ、こんな感じ。
「したこと」をならべて、時々思い出したように「気持ち」を入れてみるのですね。
紹介すると、皆げらげら笑いますが「前に書いたことある」と正直に告白する人もいます。

ダメダメ作文その2「超特急作文」またの名を「新幹線作文」。

『今日、作文で散歩に行きました。
駐車場まで行って、キンモクセイを見ました。
寒かったので、帰りました』

スケジュール作文の短縮版。どーんと出来事を飛ばして書いて
数行にしてしまう作文です。
生徒が「飛行機作文」を発明しました『今日、散歩に行きました。すぐ帰りました。楽しかったです』
途中下車(降機?)できませんから、初めと終わりだけ。
「ロケット作文」は『今日、作文の先生と散歩に行きました』で、終わり。行きっぱなしです。


散歩をテーマにして作文を書くといっても、こういう作文では面白くありません。

読み手が書き手と一緒に散歩できるような、
その風景や寒さを共に感じられるような、
そんな文章を目指したいものです。


今回は一つ一つのものを丁寧に描くことを求めました。
店の明かりに目を留めたなら、書いてすぐに次のものに移るのではなく、
それについて、もう二・三文、費やしてみます。

自分が闇に抱いた印象があるのなら
それを説明するような「一言」(例えば、美しい・やわらかい等)を用いずに
その美しさ・やわらかさを強調して表現できる「何か」にこだわり
その姿(色・形・動き・輝き・肌触り・におい等)で描くようにしてみるのです。


たった五分の散歩でしたが、原稿用紙の上では、教室にもどってこれた人はいませんでした。
ゆっくりゆっくり歩を進めて描いていたので、授業時間が終わる頃になっても
「先生、まだキンモクセイのところまでしか行ってない」
「先生、まだ階段のとこ」
なんていうことになっていました。
もちろん、今回は風景を描くのが目的でしたから、それでかまいません。
正直言うと、飛ばして書くのは楽ですが、
周囲を眺めながらゆっくりと描くのは、かなり難しいのです。
それを知っている彼らは、「まだ、こんなとこ!」と誇らしげに伝えてくれました。


子ども達が工夫を凝らした表現を少し紹介します。


「少し手に力を入れて、目の前にあるげんかんのドアを押す。するとそこには、ゴーゴーという音と風が少しあって、 車のガスのようなにおいがする。部屋の方が静かだ。」
「そうじされたように秋は感じない。カサカサ音もせず。家の中の声すら聞こえない。」

「ぼくは、うでの力でとびあがり下を見る。水色の水が入ったバケツが、ポストのすぐ近くに、さみしくある。」
「階段の前に立つと、カメラのキタムラの白いライトに照らされている虫が、白く見えた。はげしくまわりを動き回っている。」
「キンモクセイの花の黄色が、やみに包まれるような色だった。光が消えてしまうような感じだ。歩くごとに少しずつかおりがただよってくる。」

「青を極限まで濃くしたような夜空の色。黒とはいえない。その空を西へたどると、じわっと黄色くなって、みかんの皮のようなオレンジっぽい空。次第に茶色っぽくもなる。」
「じゃりのある家のところで止まって西の空を見ると、まっちゃ色のようなくすんでフワッとした山の前にぼうがある。オレンジ色の空でぼうの半分ほどがかくれている。でもその透明の感じで、向こうの山が見ているようで、手でつかめそうだ。カーテンみたいに一まいめくると、その山がどっしりしているように見えてくる。」

「もどるとき駐車場で、空から流れ星のようなものを見つけた。初めて星が空から出て空にもどる瞬間をみた。」

 

いかがでしょう、秋の夜を感じていただけたでしょうか・・・?


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実況中継-トランプゲーム [課題―描写]

今週・来週といくつかのクラスで描写のレッスンをする。
こればレッスンだ。だから、わざと一つひとつの動作を引き伸ばして描く。
決してぽんぽんと話を前に進めてはいけない。

以前に実況中継をするように人の動きを描く課題を紹介した。基本的にはそれと同じだ。

まずは口頭で人の動きを描写してみる。
ポイントは、表情・姿勢・体の動きを「どのように」を表す言葉をつけて言うこと。
「大きく万歳をするように」「指先までぴんと伸ばして」「にっと笑いながら」「はずみをつけて立ち上がった」などのように、同じ動作を何通りもの言い方で表していく。
他の人がどこに目をつけて表現したかを知るのは、自分の幅を広げるよい機会だ。これはと思ったものは「どこがよいか」を伝えつつ、どんどん発表してもらう。

何に気をつけるべきかを捉えられたら、さて本番。今回は『ババぬきをする私たち』がテーマだ。
皆でババぬきをする。その様子を心のビデオに録画して、後で紙上で再生してもらうのだ。


隣の部屋に移動するところからスタート。
後で書かねばならないのだから、できるだけ皆の様子を見ながら動いてもらう。
歩き方や、座る位置も重要なポイントだし、交わす言葉も逃せない。
ババを見せ、シャッフルし、カードを配る。その短い動作の流れは、通常なら1行程度ですむところだが、あえて引き伸ばす。だから注意深く見ておくのだ。

「ええっ、おぼえてられないよ!」と、どの子も少し緊張気味。
いつもならあれこれ話すのに、話している間に忘れてしまうと思うのか、口数が少ない。それに私がどんどん話しかけていく。


いざカードを引くときになると、大抵の子は、様子を見ることなどすっかり忘れてババぬきに夢中になる。
「あぁ」とか「うぅ」とか言いながら、カードを引くたびに体をよじっている子もいるし、なぜか人にカードを引いてもらうときになると、首を前に突き出し猫背になり、小さく丸まっている子もいる。自分の体に注意が向いていない。だからおもしろい。それをみんな見ていられるかな、と思いながらゲームを進める。

ごく普通に行えば、ゲーム中は周囲を見ていないことが多い。
自分の手元に集中しやすいし、「どうやったらババを引いてもらえるか/引かずにすむか」を考えているから、「自分」が中心となる。
しかし、世界には自分だけがいるわけではない。他の人間の動きも書いてこそ、文章である。
自分の感覚も入れつつ、人の動きも描き出す。そうやって、空間や場面を作っていく。


書く前に、念のため私たちがした動作を確認する。

   ・隣の部屋に移動
   ・座る
   ・ババを確認
   ・カードを切る
   ・カードを配る
   ・カードを手に取り、同じ数のカードを捨てる
   ・じゃんけん
   ・ゲーム開始
   ・一番にあがったのは? 二番・三番・・・
   ・誰が負けたか

これら一つひとつの動作をできるかぎり見えるように描く。
座るときに、どの子がどんなふうに座ったか。誰が、どんな声で話したか。カードを切る手つきはどんなふうだったか。カードはどのような音を立てたか。
さらに細かく場面を区切っていって、人の姿と表情を「そのまま」書くようにする。
ゲーム終了までを時間内に書く必要はない。今日はレッスンだ。カードを配り始めるところで終わってしまってもいい。ゆっくりと細かく、映像化するように描くのを優先してもらった。


描写のレッスンを何度かしたことがある人は、コツをつかんでいる。隣の部屋に行くだけで原稿用紙1枚分を使い、まるまる3枚書いても「まだカード配っただけだよう!」と笑っている。
初めての挑戦の人は、それに比べるとジェット機なみに話の進みが速い。
実は、ある動作に留まって細かく書いていくのは、相当に難しい。慣れていないと、何に目をつけて書けばよいのかがピンと来ないのだ。

そこで、話の進みが速いな、と思った子の近くに行って、待て待て、とストップをかける。
そのとき○○さんは何してた? どんな声でどう話した? などとたずねて記憶を刺激する。何か言えたらそれを書いてもらう。ついでにそのことについてもう一文描写。一つの気付きを引き伸ばすやり方を口頭でまずは行う。そうして進め方のペースをつかんでもらう。


これはレッスンだ。
全ての作文において、全ての場面をこのように引き伸ばしていたら、読み手が飽きてしまう。
人と物、場面を描くコツがつかめたら、作文の一番の見せ場にこの描写を用いる。
映像化された文章は、人の共感を呼びやすい。
何より、描写した「人の動き」が「その人となり」を雄弁に語ってくれる。

豊かに描く力を養うための、一つのレッスン。
また数ヵ月後にテーマを変えて行うことにしている。


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